1.はじめに
我が家の地盤調査結果です。
- 地盤調査結果:地盤改良が必要
- 地盤改良工法:柱状改良(アイマーク工法)
- 改良費用:850,000円(税抜)
アイマーク工法での柱状改良は、1.5m程度Φ600の改良を50本行うというものでした。
この調査結果を受け、設計書をしっかり確認したうえで、我が家では地盤改良を実施することとしました。
設計内容に納得しきれないところもありましたので、
大手高速道路会社の土木技術者として、どの様な視点で調査結果を確認したのか、気になったポイントは何か、当時のチェックポイントを解説します。
2. 地盤調査報告書
2.1 調査結果
調査結果の概要は次のとおりです。
- 地盤の支持力に問題はない
- 一方で、基礎下0~2.0mの範囲に自沈層が不均質に存在する
- このため、不同沈下の可能性がある
- よって、地盤改良が必要
もともと祖母の家が建っていた場所だったため地盤改良は想定していませんでしたが、
自沈層があることは間違いの無い調査結果でしたので、
祖母の家を解体した後の埋め戻しがよくなったかも。。。
という思いもあり、地盤改良はやむを得ないと納得しました。

2.2 地盤調査報告書で確認したこと
調査自体は、SWS試験を行うだけの単純なものですが、
報告書を鵜呑みにしてはいけませんので、念のため次のことを確認しました。
①SWS試験の調査位置に間違いはないか。
我が家は親と敷地内同居ということもあり、土地に多少の余裕がありました。
設計時に、どの位置に家を建てるか最後まで微調整していたので、
最終的に合意した新築位置で調査が行われているか確認したものです。
SWS試験の際に立会うのが1番よいですが、時間がなく立会えませんでしたので、
調査報告書の「調査位置図」で、
「試験状況写真」で、
を見て、間違いがないことを確認しました。
②試験データと調査結果・考察に矛盾はないか
調査結果は、自沈層があり不同沈下の懸念があるというのもでしたので、
SWS試験データをみて、調査結果と齟齬がないか確認しました。
試験データの一部がこちらです。

1.0kNの荷重をかけた際に、ロッドの回転なく自沈している層(自沈層)が確認できます。
全5箇所のうち全てに自沈層があり層厚が不均等でしたので、試験データと調査結果に矛盾がないことが確認できました。
※試験は全自動の機械を使っていたので、正しく試験が行われていれば試験データ自体に間違いは無い前提です。
1点不満があるとすれば、
報告書にSWS試験機の機種や校正がされていることの証明を記載いただけると、より安心できたかなと思いました。
③ 目標とする長期許容支持力が基礎設計と整合しているか
地盤調査報告書には地盤支持力の判定があります。
SWS試験のデータから地盤支持力を算出し、必要な支持力があるか判定するものです。
我が家の地盤支持力は問題無しの判定でしたが、
基礎の設計はウェルネストホームさん、地盤調査は調査会社さんと実施主体が異なりますので、
それぞれの資料に不整合がないか確認しました。
確認にあたり、ウェルネスホームさんに基礎詳細図の提示をいただきました。
確認の結果、調査報告書の設計接地圧が間違いではないか?と思われる箇所がありました。
私の理解では、「設計接地圧 ≤ 設計地耐力 ≤ 許容応力度」ですが、
- 地盤調査報告書の設計接地圧:30kN/m2
- 基礎詳細図の設計地耐力:20kN/m2
となっており、接地圧と地耐力が逆転しておりました。
【画像の上段が基礎の詳細図、下段が地盤調査報告書】

基礎詳細図の日付が2021.11、地盤調査は2021.10でしたので、地盤調査の実施時点ではウェルネスホームさんの詳細設計が未完了だったため、地盤調査会社さんは2階建ての標準値30kN/m2を用いたのかな?などと推察していました。
不整合ではありましたが、設計接地圧20kN/m2でも支持力OKの判定は変わらないため、結果としては問題無しでした。
ただ、我が家は平屋なので設計接地圧20kN/m2でしたが、3階建や4階建てになると設計接地圧40kN/m2になることもあり得ますので、基礎詳細図等をしっかり確認することをオススメします。
④支持力の算出に計算ミスはないか
地盤支持力の計算に間違いがないか確認します。
SWS試験の結果を用いて計算で算出されるものですので、計算ミスがないか電卓をたたき、間違いが無いことを確認しました。

3. 地盤改良工法は適切か
地盤改良の工法がコスト面から最適か確認しました。
地盤調査報告書では、
が推奨されていました。
その内、採用されたのは柱状地盤改良(アイマーク工法)でした。
見積は、施工日数1.5日、施工費850,000円でした。
土木屋の感覚としては、
3m未満なら表層改良や置換えが一般的で、1日あれば終わりますし、もう少し安いのでは。
といった印象でした。
そのため、ウェルネスホームさんに表層改良の方が安くないか確認し、次の回答をいただきました。
- 有機質土を含んでいるため、表層改良だと固化材が大量に必要になる。
- 表層改良は残土処分費(人力運搬含む)がかさみ、結果としてアイマーク工法が安くなる。
確かに、改良面積が約15m2⇒約100m2に増えますので、残土は増えます。
固化材の量も、有機質土ということを考えると最低添加量50kg/m3では必要強度がでない可能性もあり、改良面積の増加も踏まえると、確かに増えそうです。
ただ、表層改良であれば施工日数は減りますので、機械損料や労務費は下がります。ので、これらの増減がわかる見積にて工法を比較したかったのが本音てす。
とはいえ、回答におかしな点はありませんので、
工法を比較いただいた上で、施工者目線でなく、施主にメリットある提案として柱状改良を採用いただいたものと判断しました。
地盤改良にもいくつか方法がありますので、
工法を提示されたら、
は一度確認してみることをオススメします。
具体的な理由がない、回答に納得できない、
といった場合には他社からの見積も検討されるのがよいかと思います。
4. 地盤改良の設計は正しいか
アイマーク工法の設計に間違いがないか設計計算書を確認しました。
ここは一部疑問が残りました。
- 地盤調査会社によるアイマーク工法の設計接地圧:30kN/m2
ウェルネストホームさんが行った基礎設計の設計地耐力20kN/m2を越えていました。
「設計接地圧 ≤ 設計地耐力 ≤ 許容応力度」
これが私の理解です。
また、長期許容支持力応力度には問題のない地盤であり、「不均質な自沈層」を改善することが地盤改良のコンセプトのはず。
設計接地圧の設定が違うと、固化材の添加量や杭の本数も変わってきますので、ウェルネスホームさんに設計思想を確認しました。
というのがウェルネストホームさんの回答。納得できなかったのが本音です。
アイマーク工法の設計書では、土の粘着力を"0"としています。
粘着力は長期的な不確実性などから"0"とすることは一般的で、これが『安全側』の考え方です。
今回のケースは、計算過程で安全率も加味されており、『安全側』ではなく『過剰』な設計ではないか。といまだに疑問です。

例えば、
2階建ての長期許容支持力が30kN/m2の場合に、地盤改良の設計接地圧を40kN/m2として設計している事例など、
他の事例をお示しいただければ、ウェルネスホームさんのご方針ということで、納得できたかもしれません。
とはいえ、ウェルネスホームのご担当者さんには親身に対応いただいておりましたし、
『安全側』なので沈下の心配は全くありません。
私が地盤改良が始まる直前に確認したということもあり、そこから工事ストップも難しい。
もろもろの事情もあり、疑問解決できぬままでしたが、提案どおりに地盤改良は実施しました。
5. おわりに:プロの目で見ること、そして最後は「信頼」すること
今回は土木技術者の視点から、我が家の地盤調査と改良設計を深掘りしてみました。
私もまだまだ勉強不足ですので、理解不足や間違いがありましたら、ご教授いただけると幸いです。
一部の疑問も書きましたが、
ウェルネスホームさんの設計・施工に全く不満はなく、
むしろ品質管理や細部の丁寧な施工など大変満足しています。
私がこの記事を通じて伝えたかったのは「ハウスメーカーを疑え」ということではありません。
大切なのは、
- 「根拠」を理解して納得すること: 家づくりにおいて、地盤改良は「目に見えない大きな出費」です。だからこそ、報告書や図面を読み解き、なぜその工事が必要なのか、数値に矛盾はないかを自分なりに確認するプロセスが、後悔しない家づくりには不可欠
ということです。
最終的には、ウェルネスホームさんの丁寧な施工と品質管理を信頼し、アイマーク工法での改良に納得しています。
これから家を建てる皆さんも、ぜひ一度、自分の土地の「数値」に向き合ってみてください。
ご参考になれば幸いです。